電子コミックの株主優待。「イーブック」と「パピレス」と「ビーグリー」と「インフォコム」の比較

私はマンガが大好きです。海外で生活していることもあり、購入するのは電子コミックです。電子コミックの株主優待がもらえる企業を調べてみました。

 

イーブックの正式な名称は、イーブックイニシアティブジャパンです。長かったのでイーブックと記載します。   

 

企業
運営サイト
イーブック(3658) eBookJapan
パピレス(3641) 電子書籍パピレス、Renta!
ビーグリー(3981) まんが王国
インフォコム(4348) めちゃコミック

 

大株主

四季報18年2集より、出版関係の大株主を抜粋します。

 

企業
大株主
イーブック ヤフーが44.0%保有
パピレス インフォコムが9.3%所有、日本出版販売(文教堂を28%保有)が6.1%保有
ビーグリー 小学館が8.9%保有
インフォコム 帝人が55.1%保有

 

2018年3月28日に、めちゃコミックを運営しているインフォコムが、パピレスの株式を約10%取得することを発表しました。海外展開など、事業面での協業も模索しているようです。

 

 株主優待

 

企業
株主優待
確定月
イーブック eBook図書券
100株:1080円
500株:2160円
2000株以上:3240円
1年以上保有で+1080円、3年以上保有で+2160円
3月
パピレス 100株以上:10800円分のギフトコード 3月
ビーグリー まんが王国で使えるポイント
100株:1000円
500株:5000円
1,000株:10000円
50,000株以上:50000円
12月
インフォコム グルメ優待 3月

 

パピレスは、100株で10800円分が受け取れるので、お得ですね。

 

電子コミック(電子書籍)の市場規模と成長率

はじめに、電子コミック(電子書籍)の市場規模をビーグリーの決算説明資料から見ていきます。

 

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電子書籍の年平均成長率は14%弱と言われており、2016年の市場構成はコミック82%、書籍が18%となっています。今後もこの比率を保ちながら、電子コミックは電子書籍の主力コンテンツとして高い成長をしていくとされています。

 

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コミック市場は、2012年までは縮小傾向でしたが、電子コミックの普及により回復しています。そして、2022年には、電子コミックだけで2,560億円の市場規模になるとされています。

 

まとめますと、

 

・電子コミックは年平均成長率14%弱の成長産業

・2020年の電子コミックの市場規模は2,560億円

・企業の売上がYOYで+14%に満たない場合は、他の企業にシェアを奪われている

 

ということがわかります。

 

売上とMAUとARPMAU

売上とMAUとARPMAUを見ていきたいと思います。

 

個人課金ビジネスで重要とされる指標は、サービスを使用している人数と1人あたりの購入金額です。今回は、1ヶ月以内にログインしている人数を調べます。これを、MAU(Montyly Active User)と言います。

 

また、アクティブユーザー1人あたりの平均購入金額は、ARPU(Average Revenue Per User)と言います。

 

企業の売上は、以下の式が成立します。 売上 = ユーザー数 x ユーザーあたりの売上

 

イーブックとビーグリーは決算説明資料から登録者数がわかるので、1ヶ月あたりのアクティブユーザー数を示すMAU(Monthly Active Usersの略)から、1ユーザーあたりの月間売上(ARPMAU)の比較をしてみたいと思います。

 

イーブックのMAUとARPMAU

2018年7月27日のイーブックの決算説明資料を見ていきます。

 

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MAUは記載されていないので、登録者数から推測します。

 

2018年6月末で登録者数167万人(YOY+15.84%、ただしマンガ以外を含む)とありますので、アクティブユーザー(MAU)を登録者数の5-8%とすると、MAUは8万-13万人となります。

 

また、2018年4月~6月の電子書籍配信の売上はパソコンとモバイルを合わせると16億円(YoY+8.7%*参考、ただしマンガ以外を含む)です。

 

したがって、

 

MAUが8万人の場合、アクティブユーザー1人あたりの平均購入金額(ARPMAU)は6,700円

MAUが13万人の場合、ARPMAUは4,100円

 

といえます。 また、スライドを見ていくと、『購入者の1人あたりの月額平均購入額5,000円を実現!』という文章が見つかります。

 

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さきほど4,100円-6,700円と推測したので、近い値になっていると思います。

 

ビーグリーのMAUとARPMAU

次に、ビーグリーです。2018年8月15日の決算説明資料を見ていきます。

 

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18年4月で会員数100万人突破とありますので、MAUをイーブックと同じように登録者数の5-8%とすると、MAUは5万人~8万人となります。

 

次に、売上を見ます。

 

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2018年4月~6月の売上は24億円(YOY+5.4%)だとわかります。

 

したがって、

 

MAUが5万人の場合、ARPMAUは16,000円

MAUが8万人の場合、ARPMAUは10,000円

 

といえます。

 

登録ユーザーの獲得コストと回収期間

2018年2Q発表時に、ビーグリーの株価が下がりました。テレビ広告などプロモーションにお金をつぎ込んだのですが、想定していたよりも効果が得られず、赤字になってしまったためです。

 

ここで、1人あたりの登録ユーザーの獲得コストを見ていきたいと思います。 『2018年2月で登録者数80万人、2018年4月26日に100万人突破』とありましたので、3カ月で20万人増加したことにして、獲得コストを計算します。 3ヶ月間の広告宣伝費がわかればよいのですが、記載が見当たりません。

 

パピレスの決算説明資料には記載されているんですけどね。

 

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『広告宣伝費の売上高に占める割合が32.2%』とあります。ここは、パピレスを参考んして、ビーグリーの広告宣伝費をえいやーと決めてしまいましょう。

 

広告宣伝費は売上高の50%に設定します。すると、広告宣伝費は12億円となります。 12億円を20万人で割ると、1人当たりの獲得コストが算出できます。計算すると、6,000円になります。

 

ただし、ここから継続的にまんが王国を使い続けるアクティブユーザーは5-8%としましょう。すると、アクティブユーザー1人あたりの獲得コストは、75,000円-120,000円となります。 さきほど、MAUの1人あたりの平均購入金額は10,000円-120,000円と推測しましたので、 8ヶ月ぐらいで回収できる計算になります。 最後に、広告の効果についてですが、まんが王国のサービス認知率がKindleとRenta!を越えたようです。

 

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